築90年の古民家を今の暮らしにフィットする機能的な住まいに

築90年の古民家は、部屋ごとに細かく区切られた昔ながらの間取りで、採光や収納などは十分とはいえませんでした。そこで、構造上必要な壁や柱は残しながら、間仕切り壁や天井を撤去。古民家ならではの風合いはそのままに、大きな吹き抜けを設けることで、明るく機能的な住まいに生まれ変わりました。
DATA
リフォーム面積 | 約250㎡ |
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構造規模 | 木造 2階建て |
築年数 | 90年 |
設計・施工 | 積和建設近畿株式会社 |
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工事概要 | 外装、屋根、内装、断熱、キッチン、洗面、トイレ |
費用 | 約3,000万円 |



こだわりポイント
既存の梁や柱を活かした吹き抜けの土間リビング
玄関、1階南洋室と北洋室、キッチンの間仕切り壁を取り除き、多目的に利用できる土間リビングに仕上げました。吹き抜けとしたスペースには、ご主人の希望で薪ストーブを設置。2階まで空気が循環することで、冬は家全体がストーブの熱で温められる環境にやさしい住まいを実現しました。トップライトや電動窓など、採光や換気を考えた工夫も随所に取り入れています。




既存の柱と梁の重厚さと、珪藻土の白壁とのコントラストが映える土間リビング。

開放感が広がるよう、鉄骨階段の手すりもあえて片方だけに。

階段奥のトップライトは、既存の透明瓦を再利用。

吹き抜け上部には電動の窓を設置し、通気性や採光性をアップ。
庭が見渡せる明るく広々としたDKに
1階の北側和室二間をダイニング・キッチンにリフォーム。キッチンは庭が見渡せる掃き出し窓を活かすため、シンクとコンロのカウンターを分けたセパレート型にしました。元は押入れだった部分に、コンロ側のカウンターや吊戸棚を設置。構造上取り除けない柱は残しています。また、DKの床を下げ南側の和室とのアイレベルを近づけることで、和と洋の空間を一体化。吹き抜けになっていないダイニングの天井を抑えることによって、居心地が良く落ち着いた空間になりました。




壁側にコンロを、中央にシンクを設置したセパレートキッチン。大きな窓からは、庭の緑が楽しめる。

今回のリフォームでは和室はそのままに。リビングの方を一段下げています。

吹き抜け部分の梁を利用し、室内で遊べるブランコを手づくり。お子様のお気に入りです。
自然素材の特性を取り入れ、古い建具も再利用
壁材には調湿機能にすぐれ、和の質感が空間の雰囲気にも合う珪藻土を、フローリングには肌触りがよく、木のぬくもりが感じられる無垢材を使用しました。また、ご主人と奥様のご希望で、解体時に出る古材や古い建具なども積極的に活用。新しい空間の中でも、古民家ならではの風合いが感じられます。

古い建具を利用した2階主寝室の押出し窓。木枠のゆるみなどもチェックし、安心して使えるよう調整している。

既存の大きな梁と珪藻土壁、無垢材のフローリングが調和し、落ち着きのある雰囲気を醸し出している。

床を少し下げたことで、新しく作製したダイニングの建具。使いやすさを考え、和室と建具の引手の位置を合わしている。